英語学習者が陥りがちな罠その1:単語帳を使って(作って)ひたすら暗記する(1)実は単語帳は必要ない

英語の重要性については皆薄々と気づいてはいると思う。そもそも殆どの大学入試に英語の試験は課されているし、学生時代に他人より英語ができると比較的高給なアルバイトに就くことができたり、就職活動の際に多少有利になったりする。ある程度成績優秀で、かつTOEFL等で高スコアを取ることができれば返済義務なしの奨学金をもらってアメリカの大学院に留学することも夢じゃない(というか Teaching Assistant や Research Assistant という名目で給料がもらえたりする)。社会に出てからだって、入社直後の新入社員にTOEIC試験を受けさせて、その結果によって配属先の割り振りを行う企業も少なくないし(そういう境遇にある知人が何人もいる)、事業のグローバル化に伴って、英語ができる社員とできない社員とで待遇が異なるケースも何ら珍しいものではない。


というわけで、英語の重要性・必要性を(しぶしぶ)認めて勉強し始める訳だが、勉強を始める前に、あるいは勉強しながら、自分の今の勉強方法について、「この方法で本当に効果があるのか」とたまに問いかけてみることはとても重要だと思う。なぜこんなことを書いているかというと、周りの英語学習者の多くが単語帳に固執して時間を無駄にしているように思えてならないからだ。


ところで、日本において最も一般的な英語力の指標に「TOEICのスコア」が挙げられる。英語力の指標としての妥当性については置いておくとして、日本人英語学習者の多くがTOEICのスコアを気にしている。私の現在(2010年9月現在)のスコアは935であり、周りの反応からすると上級者に分類されるらしい。そんなわけで英語の勉強法について訊かれることが少なくないので、どうせなら、ということでしばらく本blogに英語の学習法についてまとめていこうと思います。

まずは、私のTOEIC歴について。
暗黒の浪人時代を紙一重でsurviveし、眩しすぎる未来に目がくらんで部活やサークルや現代思想応用数学やプログラミングやピアノやアルバイト等、あっちこっちに手を出したはいいものの、どの道のspecialistになることもなく、かと言ってgeneralistと呼ぶにはほど遠い浅薄な教養しか身につけていない、つまりどこに出しても恥ずかしい平均的な大学生として怠惰なモラトリアムを謳歌していた2年生の春先、一人の女の子からTOEICの受験を勧められた。「大学院入試の時にはTOEICのスコアが英語の点数として評価されるみたいだし、今のうちに受けて準備を始めたら?」と。当時私と彼女は同じクラスに在籍しており、二人ともそのまま大学院まで行くということはなんとなく決めていた。今振り返っても、二年半先のことまで考えて行動していた彼女の計画性には脱帽するしかない。今こうして文章を綴っているのも、一重に彼女のお陰である。

それはともかく、記念すべきTOEIC初受験(2008年の春)。浪人時代に必死になって詰め込んだ英単語は一年足らずでその殆どが行方不明、もともと不得意なlisteningは案の定ちんぷんかんぷん、readingでは圧倒的に時間が足りず、結果は600点であった。一方、同じ試験を受けた彼女の結果は875点。readingでは何十分も時間が余り、見直しをするのにも途中で飽きたという。圧倒的なレベルの違いを目の当たりにし、なんだか自分が生きているのが申し訳なく思えてくるほどだったが、代わりにOfficial Score Certificateを木っ端微塵にすることでかろうじて精神の安定を保つに至った。試験の前に、なぜか私は無謀にも彼女に「今回の試験で勝負をしよう」と持ちかけており、なんの盛り上がりもなく惨敗した結果、罰ゲームとして親にも見せたことのない土下座姿の写メールを献上奉ることとなった(祝)。その後、彼女の「875」というスコアが私の目標となったのは言うまでもない。以下、結果のみ簡潔に示す。

一回目。2008年5月末実施。600。
スコア表紛失。

二回目。2008年6月29日実施。660。

三回目。2009年3月15日実施。700。

四回目。2009年5月31日実施。760。

五回目。2009年11月29日実施。830。

六回目。2010年1月31日実施。895。

七回目。2010年5月30日実施。935。

そして現在(2010年9月)に至る。短期的な目標は、今年度中にTOEIC満点を取ること。TOEFLを受験すること。
二回目と三回目の受験に8ヶ月近く間が開いているのは、できなさのあまり「自分は先天的に英語に向いていないのではないか」という機運が高まり、半年以上英語から距離を置いていたからである。そういう時もある。

ここで本題に戻ろう。TOEICスコアが600点から935点まで上がった二年間(もちろん現在も)、単語帳を暗記することも、単語帳を自作することも一切しなかった。意外に思われる方が多いかもしれないが、その理由と、単語を暗記する代わりにするべきことを次以降に述べようと思います。


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